ほぼ月刊C-STATION Vol.03|🎧 8cmなC-STATION その2

🎧 8cmなC-STATION その2

—— 小さな円盤と、時代のすき間の話

年末年始は、
少し時間の流れがゆっくりになります。

店の棚を整理しながら、
ふと、昔のことを思い出しました。


1987年、CDレンタルから始まった店

C-STATIONを始めたのは1987年。
当時の大阪では、たぶんまだ珍しかった
CDレンタル専門店 としてのスタートでした。

ただし、その頃のシングルはCDではなく、
主役はまだ EPレコード

CDは「これから普及するらしい」
そんな位置づけだったと思います。


ある日、8cmCDを10枚借りたお客さん

転機らしきものは、
とても些細な出来事でした。

ある日、
お客さんが 8cmCDを10枚ほどまとめてレンタル してくれた。

理由を聞くと、
「好きな曲だけ集めたオムニバステープを作るため」と。

当時、
オムニバステープは
アルバムから曲を抜き出して作るのが主流でした。

だから、その話を聞いて
「なるほど」と思ったのを覚えています。


大型店の時代、ふと頭をよぎったこと

90年代に入り、
TSUTAYAをはじめとする大型店が
次々と出店し始めました。

正直、
同じ土俵で戦うのは簡単ではありません。

そこでふと頭をよぎったのが、
8cmCD でした。

当時、レンタルの主力はあくまでアルバムCDで、
シングルはそれほど強化されていなかった。

そもそも1980年代後半のシングルといえば、
レンタルでも販売でも主役は EPレコード
CDシングルは、まだ過渡期の存在でした。

だったら、
8cmCDなら勝負できるかもしれない ——
そんな考えが浮かびました。


カセットテープの時代、地域No.1を目指して

当時はまだ、
カセットテープの全盛期

8cmCDの強化と同時に、
生カセットテープの品ぞろえ も徹底的に増やしました。

結果的に、
この2つの組み合わせで
地域No.1 と言われる時期もありました。

特別な戦略というより、
その時代、その場所で
自然にそうなっていった感覚に近いと思います。


カラオケ、TV主題歌、MD —— 追い風の時代

その後、

  • カラオケブーム

  • TVドラマ主題歌

  • CMタイアップ

  • MDの登場

こうした流れが重なり、
8cmCDのレンタルは 爆発的に伸びました

店の棚は、
小さな円盤で埋め尽くされていきました。


そして、時代は静かに変わる

やがて、

  • iTunesの上陸

  • サブスクリプションの普及

音楽の楽しみ方は
大きく変わっていきます。

8cmCDは、
いつの間にか 「オワコン」 と呼ばれる存在に。

大量に売れた分、
大量に不要な在庫となり、
厄介者扱いされる時代もありました。

ブックオフでは、
袋詰め100円 で投げ売りされているのを
目にすることもありました。


処分できなかった、5台の什器

C-STATIONには、
8cmCD用の什器が 5台 あります。

正直、
処分に困りました。

結局、
何もせず、そのまま置いておく ことに。

同業者から
「あほか?」
と言われたこともあります。


意図だったのか、ただの偶然か

今振り返ると、
「狙って続けてきた」と
言いたくなるかもしれません。

でも、
正直に言えば 偶然 です。

ただ、
2015年頃に
「もしかすると、まだ可能性があるのでは」
と感じた瞬間はありました。

その頃のことは、
別の記事に少しだけ書いています。
https://c-station.jp/blog/archives/51


小さな円盤は、しぶとい

流行の中心に戻ることは
ないかもしれません。

でも、
消えないもの もある。

8cmCDは、
そんな存在なのかもしれません。

年末年始、
少し時間に余裕ができたら、
手のひらサイズの音楽を
思い出してもらえたらうれしいです。


おわりに

この「8cmなC-STATION」という話は、
今回でひと区切りにします。

店と時代の間にあった
偶然 と #8cmな 小さな出来事の積み重ね。

ただ、それだけの話です♪